比較

360度評価ツール比較|匿名性・評価制度との統合・料金の考え方で選ぶ

360度評価(多面評価)のツールを検討している人事向けに、Wevox 360・カオナビ・HRBrain・あしたのチーム・SmartHR タレントマネジメント・ChordOne Performance の6つを、匿名性の設計、通常の評価制度との統合、対象規模、料金の考え方で整理しました。各社の情報は公式サイトで確認できる範囲にとどめ、確認できない項目は「公式サイト参照」としています。

360度評価ツールは、何を基準に比べればよいですか?

匿名性の設計・通常の評価制度との統合・対象規模・料金の考え方、の4つです。機能の数より、「誰に何を見せるか」と「結果をどこに渡すか」が運用の成否を決めます。

360度評価のツールは、単体ツール、エンゲージメントサーベイの一部、人事評価・タレントマネジメントの一機能、の3タイプに分かれます。この記事では、20〜300人規模の会社で候補に上がりやすい Wevox 360・カオナビ・HRBrain・あしたのチーム・SmartHR タレントマネジメント・ChordOne Performance の6つを、公式サイトで確認できる範囲の情報で整理します。

360度評価(多面評価)
上司だけでなく、同僚・部下・場合によっては本人自身など複数の立場から、対象者の行動や仕事の進め方についてフィードバックを集める仕組み。育成目的で使うことが多く、処遇に直結させるかどうかは会社の方針で分かれる。

比較の軸は次の4つに絞りました。

  • 匿名性の設計:匿名・記名を選べるか。回答者を本人に開示せず管理者だけが見る「記名・非開示」ができるか
  • 評価制度との統合:通常の評価サイクル・評価シートと同じ場所で扱えるか。結果を評価面談や1on1に転記なしで渡せるか
  • 対象規模と導入の重さ:何人規模を想定した製品か。導入支援やコンサルティングが前提か、自分で設定できるか
  • 料金の考え方:人数課金か、実施回数課金か、最低月額があるか、個別見積もりか

6つのツールを一覧で比べると、どう違いますか?

単体・サーベイ型は「360度だけを確実に回す」のに向き、タレントマネジメント型は「通常評価と一体で運用する」のに向きます。料金は公開している製品と個別見積もりの製品に分かれます。

ツール提供の形360度の位置づけ匿名性料金の考え方(公式サイト)
Wevox 360(アトラエ)組織サーベイ(エンゲージメント)プラットフォームサーベイの一種として360度フィードバックを実施匿名・実名を選択可。閲覧権限をアカウント・グループ単位で設定チームサクセスプラン 月額9万円(税抜)〜、151名以降 月600円/人、初期費用なし(公式サイト、2026年9月確認)。360度を含むプラン条件は公式サイト参照
カオナビタレントマネジメントシステム評価ワークフロー(スマートレビュー)の360度評価テンプレート。自社シートに合わせてカスタマイズ可評価者ごとの権限設定あり。匿名設定の詳細は公式サイト参照機能と人数でプランを作成。個別見積もり(公式サイト参照)
HRBrainタレントマネジメント/人事評価クラウド「HRBrain 360度評価」を製品として提供。評価シート作成・ワークフロー・集計公式サイト参照必要な製品と利用人数で変動する月額制。個別見積もり(公式サイト参照)
あしたのチーム評価制度構築コンサルティング+あしたのクラウドクラウドの機能一覧に360度評価。専任コンサルタントが制度構築から運用まで伴走公式サイト参照個別見積もり(公式サイト参照)。制度構築・運用支援のメニューが前提
SmartHR タレントマネジメント労務管理と同じ従業員データベース上のタレントマネジメント人事評価機能内の360度評価・フィードバック(専用テンプレート)。部署・役職から評価者を自動設定公式サイト参照初期導入費用・サポート費用0円(公式表記)。月額は個別見積もり(公式サイト参照)
ChordOne Performance人事評価・360度・等級定義に絞った製品(ChordOne 本体と同じデータ)本人依頼と管理者の一括依頼。質問はテンプレート5種から選んで編集匿名/記名を設定で選択。回答は本人と管理者のみ閲覧20名まで無料。21名以上 月200円/人。全部入り上限 月800円/人

各社の情報は2026年9月時点で公式サイトで確認できる範囲にとどめています。「公式サイト参照」は、公式ページで明確に確認できなかった項目です。最新の仕様・料金は必ず各社の公式サイトでご確認ください。

匿名性は、どう設計すればよいですか?

実務でバランスが良いのは「記名で集め、本人には回答者を開示せず、人事だけが確認できる」方式です。完全匿名は率直さが増える反面、少人数では特定されやすく、不適切な回答への対処もできません。

匿名性の設計は、ツール選びの前に会社として決めておく項目です。選択肢は3つあります。

方式本人に見える人事に見える向いている場面注意点
完全匿名回答内容のみ(回答者不明)回答者不明初回導入で心理的な抵抗が強いとき回答者が3人以下だと内容で特定される。不適切な回答に対処できない
記名・非開示回答内容のみ(回答者不明)回答者が分かる育成目的の通常運用人事が回答者を知ることを事前に周知する
完全記名回答者と内容回答者と内容信頼関係が強い小チーム、フィードバック文化が定着した後率直さが下がりやすい。処遇に直結させると忖度が起きる

ツール側で確認するのは、①匿名・記名を実施ごとに選べるか、②回答者名を本人に表示しない設定があるか、③管理者(人事)の閲覧範囲を分けられるか、の3点です。Wevox は公式 FAQ で匿名・実名のどちらでも運用でき、閲覧権限を個人単位で設定できるとしています。ChordOne Performance は匿名/記名を設定で選び、回答は本人と管理者だけが見られます。他の製品は公式サイトで匿名設定の詳細を確認してください。

もう一つ大事なのは最低回答者数です。部下2名の管理職を対象にすると、匿名でも誰が書いたか分かります。回答者が3名未満の対象者は集計を出さない、あるいは同僚を足して回答者を増やす、といった運用ルールを先に決めます。

通常の評価制度と、どう統合しますか?

360度の結果を「評価点に直接加える」のではなく、「上司評価と面談の参考情報として同じ画面に置く」のが最も続く形です。別ツールで実施すると、毎期の転記と突き合わせが人事の作業になります。

360度評価が頓挫する典型は、結果を処遇に直結させて忖度が起きるか、集計結果を渡して終わりになるか、のどちらかです。統合の設計としては、次の3段階で考えると無理がありません。

  1. 育成目的で単独運用:評価サイクルとは別に、マネージャー層など対象を絞って実施。結果は本人と上司の1on1で扱う
  2. 評価サイクルの参考情報に:上司評価の段階で、360度の結果を同じ画面で参照できるようにする。評価点には加えない
  3. 評価項目の一部に組み込む:行動(バリュー)ブロックの一部に360度の結果を反映する。ここまで来ると匿名性と最低回答者数のルールが必須

この3段階を1つのツールで進められるかが、統合の観点での分かれ目です。サーベイ型・単体型は1段階目に強く、2〜3段階目では評価システムとの間で結果を渡す作業が発生します。タレントマネジメント型と ChordOne Performance は、通常の評価と同じ場所で扱えるため、2〜3段階目に移るときに転記が要りません。ChordOne Performance の場合、360度の結果は通常の評価シートの点数に自動では組み込まれないので、3段階目では評価者が結果を参照しながら評価シートに記入する運用になります。評価制度そのものの設計は 中小企業の人事評価制度の作り方 を参照してください。

会社の規模ごとに、どのタイプが合いますか?

20〜50人は自分で設定できて最低月額がない製品、50〜300人は通常評価と統合できる製品、それ以上や制度をゼロから作る会社は伴走支援つきの製品が候補です。

規模・状況合いやすいタイプ理由候補になりやすい製品(例)
20〜50人、制度が固まる前自分で設定でき、最低月額のない製品対象者が少なく、最低月額型は1人あたりが高くなる。制度が変わっても作り直せる軽さが必要ChordOne Performance(20名まで無料)
50〜150人、通常評価と一体で回したい評価サイクルと同じ場所で360度を扱える製品転記をなくし、結果を面談・1on1に直接渡すChordOne Performance、カオナビ、HRBrain、SmartHR タレントマネジメント
150人以上、または全社サーベイと一体でサーベイ基盤の一部として360度を回すエンゲージメントの定点観測と同じ配信・閲覧権限で運用できるWevox 360
制度をゼロから作る、人事が1人以下コンサルティング+クラウドの伴走型制度設計と運用の両方を外部が支えるあしたのチーム
労務手続きを SmartHR で完結している労務と同じ従業員データベース上の評価評価者を部署・役職から自動設定できるSmartHR タレントマネジメント

「候補になりやすい製品」は公式サイトの提供形態から見た一般的な整理で、優劣ではありません。実際の適合は要件と見積もりで判断してください。

料金は、どう読めばよいですか?

「月額単価」ではなく「自社の人数での年間総額」に揃えて比べます。最低月額・実施回数課金・初期費用・伴走支援費の有無で、同じ単価でも総額は数倍変わります。

360度評価ツールの料金の型は4つです。①人数×単価の従量課金、②最低月額つきの従量課金、③実施回数×対象者数の課金、④個別見積もり(タレントマネジメントの契約に含む)。今回の6つでは、公式サイトで金額が確認できたのは Wevox と ChordOne Performance で、他は個別見積もりです。

従業員数最低月額型の例(月額9万円〜、151名以降 月600円/人)人数課金型の例(月200円/人、20名まで無料)
30名月9万円(最低月額を適用)月6,000円
100名月9万円(最低月額を適用)月2万円
200名月12万円(200 × 600円)月4万円

左列は Wevox 公式料金ページの計算方法(2026年9月確認、税抜)にもとづく計算例、右列は ChordOne Performance の評価モジュール料金。Wevox はエンゲージメントサーベイを含むプラットフォーム全体の料金で、360度評価だけの料金ではありません。単純な優劣比較ではなく、料金の型の違いを示すための例です。

個別見積もりの製品を比べるときは、見積書に「最低利用人数」「初期費用の内訳(設定代行を含むか)」「360度がオプションか標準か」「運用支援費」の4項目を書いてもらうと、総額で揃えられます。費用の見方は 料金ページの「費用の見方」 にもまとめています。

まとめ:360度は「匿名性」と「渡し先」を先に決めてから選ぶ

360度評価ツールの選定で見るべきは、匿名性の設計(記名・非開示ができるか)、通常の評価制度との統合(同じ場所で扱えるか)、対象規模と導入の重さ、料金の考え方(最低月額・実施回数・個別見積もり)の4つです。機能一覧の長さでは決まりません。

ChordOne Performance は、本人依頼と管理者の一括依頼、匿名/記名の設定、本人と管理者だけの閲覧範囲を備え、通常の評価サイクルと同じ場所で360度を扱えます。20名まで無料、21名以上は月200円/人で、最低月額や実施回数課金はありません。360度評価の機能 と よくある質問 で詳しく確認できます。