運用

評価面談の進め方|準備・当日の流れ・伝え方・記録の残し方

結果を伝えたら本人が黙ってしまった、反論が続いて時間切れになった、来期に何をするかが決まらなかった。評価面談の失敗の多くは、準備の不足と、結果を先に言ってしまう進め方から生まれます。面談前に揃えるもの、45分の進行、事実→影響→期待の言い方、低い評価の伝え方、記録の残し方を、20〜300人の会社の上司と人事が今期から使える形に整理しました。

評価面談とは何ですか?何を目的に行いますか?

確定した評価結果とその根拠を本人に伝え、本人の受け止めを聞き、次の期の目標と支援を合意する上司と本人の面談です。結果の通知ではなく、根拠の説明と次の合意が目的です。

評価面談がうまくいかない会社の多くは、面談を「結果を伝える場」と捉えています。結果だけなら紙で渡せます。面談で行うべきことは、①なぜその結果になったかを事実で説明する、②本人がどう受け止めたかを聞く、③次の期に何を変え、上司が何を支援するかを合意する、の3つです。この3つができていれば、結果が本人の期待より低くても、制度への信頼は保たれます。

評価面談(フィードバック面談)
評価サイクルの最終結果が確定したあと、上司が本人に結果と根拠を伝え、受け止めを聞き、次期の目標・行動・支援を合意する面談。目標設定面談・期中面談と区別して、期末面談とも呼ぶ。

面談の質は、当日の話し方より事前の準備で決まります。この記事では、準備するもの、30〜45分の進行、言い方、低い評価の伝え方、記録の残し方の順に整理します。評価サイクル全体の中での位置づけは 評価フローの決め方 を参照してください。

面談の前に、何を準備しますか?

①確定した最終結果と評価シート、②項目ごとの行動事実、③自己評価と上司評価の差が大きい項目、④次期の目標候補と支援案、の4つを揃えます。根拠が薄い項目は面談で断定せず、確認事項に回します。

準備が不十分な面談は、上司の印象論と本人の反論の応酬になります。上司が面談の前日までに揃えるものは次のとおりです。

準備するもの内容面談での使い方
確定した最終結果と評価シート最終結果(S/A/B など)、項目ごとの点数、上司評価のコメント結果を伝えるときの土台。キャリブレーションで変わった場合も「確定した結果」だけを伝える
項目ごとの行動事実「いつ・何を・どうした・結果どうなった」を項目ごとに1〜2件点数の根拠。印象の言葉(積極的・消極的)を事実に置き換える
自己評価との差が大きい項目本人の自己評価と上司評価が2段階以上違う項目面談で時間を使う場所。ここ以外は短く流す
前期の面談で合意した内容前期の目標・行動・支援の約束「前回こう合意した→今期はどうだったか」で一貫性を示す
次期の目標候補と支援案等級に期待する役割から見た次の課題、上司ができる支援面談の後半で本人の希望と合わせて合意する
面談の進行メモ時間配分、冒頭で伝える目的、聞く質問話が逸れたときに戻る基準

「項目ごとの行動事実」が揃わない項目は、面談で無理に断定しません。「この項目は私が直接観察できた場面が少なかったので、あなたから見てどうだったか聞きたい」と正直に言うほうが、根拠のない断定よりも信頼を保てます。期中に月1回でも行動事実のメモを残していれば、この準備は30分で終わります。メモが無いと記憶に頼ることになり、期末誤差(直近の出来事に引きずられる偏り)が入りやすくなります。

面談当日は、どんな順番で進めますか?

①目的と流れの共有(3分)→②本人の自己評価と振り返りを聞く(10分)→③結果と根拠を伝える(10分)→④差のある項目について対話する(10分)→⑤次期の目標と支援の合意(10分)→⑥記録の確認(2分)、で約45分です。本人の話を先に聞くのが要点です。

順番で最も大事なのは、上司が結果を言う前に本人の振り返りを聞くことです。先に結果を言うと、本人はその後の話をすべて「結果の正当化」として聞きます。先に本人の自己認識を聞けば、どこに認識の差があるかが分かり、③④で使う時間を差のある項目に集中できます。

段階時間すること言い方の例
①目的と流れ3分面談の目的(根拠の説明と次の合意)、進行、所要時間を伝える「今日は今期の結果と根拠をお伝えして、受け止めを聞いたうえで、来期に向けて何をするかを一緒に決める時間です」
②本人の振り返り10分自己評価の理由、うまくいったこと、うまくいかなかった原因を聞く。口を挟まない「まず、今期をどう振り返っていますか。自己評価でこの項目を高くした理由も聞かせてください」
③結果と根拠10分最終結果を伝え、項目ごとに行動事実→仕事への影響→基準への当て方の順で説明する「最終結果は B、期待どおりです。成果の項目は、○月の△△の件で……という事実があり、等級 G2 に期待する『担当領域を自走して完了する』に照らして……」
④差のある項目の対話10分自己評価と差が大きい項目に絞り、本人の事実と上司の事実を並べる。押し切らず、基準の読み方の差なら基準を確認する「ここは自己評価が A で私は B でした。あなたが A とした根拠を聞かせてください。私が見ていた事実はこうです」
⑤次期の合意10分次期の目標・変える行動を1〜2つに絞り、上司の支援と確認のタイミングを決める「来期は△△を目標にしましょう。私は月1回の1on1で進捗を見て、○○の場面には同席します」
⑥記録の確認2分合意した内容を読み上げ、記録に残すことを伝える「今の合意を面談記録に残します。来期の期初にもう一度確認しましょう」

時間は45分を上限にします。長引く面談は、④で決着のつかない議論を続けているか、⑤に入れず結果の話を繰り返しているかのどちらかです。④で合意に至らない場合は、「基準の読み方が違うようなので、人事に確認して改めて伝える」と区切り、その場で結果を変える約束はしません。

結果や課題は、どう言えばよいですか?

「事実→影響→期待」の順で、人格ではなく行動について話します。「積極性が足りない」ではなく「○月の△△で、依頼を受けてから着手まで2週間かかり、□□に影響した。来期は着手を3日以内にしてほしい」と言い換えます。

評価面談の言い方で守るルールは3つです。①人格や性格の言葉を使わない、②事実を先に出し、解釈や期待は後に置く、③良い点も同じ形式(事実→影響)で伝える。以下に、避けたい言い方と置き換えの例を示します。

避けたい言い方問題置き換え(事実→影響→期待)
「もっと積極性が必要だ」人格の評価に聞こえ、何を変えればよいか分からない「○月の△△では、依頼から着手まで2週間かかり、□□の納期に影響しました。来期は着手を3日以内にしてください」
「みんなが困っていると言っている」出所の分からない他人の声で、反論も改善もできない「私が見た場面では、△△の共有が会議の後になっていました。事前に共有してもらえると、○○が判断しやすくなります」
「調整会議で下がった」本人に説明できない理由を根拠にしている「この行動と成果を、会社の B の基準に当てるとこうなります」(最終結果の根拠は上司評価の事実で説明する)
「頑張っているのは分かるけど」前置きが結果を曖昧にし、本人は「でも」の後だけを聞く「△△の件は成果として評価しています。一方で○○については……」(良い点も事実で伝え、接続は対等に)
「来期は頑張って」何をどうするかが決まらず、次の面談で同じ話になる「来期は○○を目標に、△△の行動を変えましょう。私は□□で支援します。確認は月1回の1on1で」

期待より低い評価は、どう伝えますか?

結果を最初にはっきり伝え、根拠を事実で示し、本人の受け止めを聞いたうえで、次期に何を変えれば評価が変わるかを具体的に合意します。曖昧にぼかすこと、謝ること、調整会議を理由にすることは避けます。

低い評価の面談で最も多い失敗は、上司が結果を言いにくくて前置きが長くなり、本人が「結局どうだったのか」を面談の終盤まで分からないことです。伝える順番は次のとおりです。

  1. 結果を最初に、短く:「今期の最終結果は C、改善が必要です」。前置きは目的の共有だけにする
  2. 根拠を事実で:項目ごとに、何があって、仕事にどう影響し、等級に期待する役割とどう差があったか。2〜3件に絞る
  3. 受け止めを聞く:「この結果と根拠をどう受け止めましたか」。反論が出たら事実を並べ、基準の読み方の差なら基準を確認する。その場で結果を変える約束はしない
  4. 次期に何を変えるか:「来期にこの行動が変わり、この成果が出れば、基準上は B になる」と、評価が変わる条件を具体的に示す
  5. 支援を約束する:上司が何をするか(1on1の頻度、同席、業務の調整)を決め、確認のタイミングを置く

低い評価は、本人にとっては「期待されていない」のサインに聞こえます。だから5番目の支援の約束が重要です。「改善が必要」の意味を「次期の支援計画を作る段階」と最終結果の定義に書いておくと、上司も本人も同じ理解で面談に入れます。最終結果の呼び方と定義の設計は 用語集の最終結果の呼び方 と 人事評価への不満の原因と対策 を参照してください。

面談の記録は、どう残しますか?

「伝えた結果と根拠」「本人の受け止め」「次期の目標・行動・支援・確認時期」の3点を、評価結果と同じ場所に、次の面談で読み返せる形で残します。本人にも同じ内容を見せます。

面談の記録が残っていないと、次の期に「前回何を合意したか」を誰も覚えておらず、毎期ゼロから話すことになります。記録の項目は次のとおりです。

記録する項目内容誰が見るか
伝えた結果と根拠最終結果と、説明に使った行動事実の要点本人・上司・人事
本人の受け止め納得した点、認識が違った点、確認を求めた点本人・上司・人事。認識の差は次の期の観察項目にする
次期の目標・行動合意した目標(1〜2つ)と変える行動本人・上司。次期の目標設定にそのまま使う
上司の支援と確認時期上司が何をするか、いつ確認するか本人・上司。期中の1on1の議題になる
人事への申し送り基準の読み方の確認依頼、面談の同席依頼など上司・人事(本人には非表示)

記録の置き場所は評価結果と同じ場所が理想です。ChordOne Performance では、評価シートに文章形式の質問ブロック(例:「面談で合意した次期の目標と支援」)を置き、最終結果の段階で本人と上司が閲覧できる設定にすることで、面談の記録を評価結果と同じ場所に残せます。人事への申し送りは本人に非表示のブロックとして分けられます。前期の評価シートも同じ場所からたどれるため、「前回こう合意した」を面談の冒頭で開けます。段階ごとの閲覧範囲の仕組みは 機能一覧の評価シート を参照してください。

評価面談で、よくある疑問

面談は結果の公開前と公開後、どちらに行いますか?

結果を本人がシステムや書面で見る前に、面談で口頭で伝えるのが基本です。先に結果だけを見た本人は、面談までの間に自分で理由を推測し、面談は「推測への反論」から始まります。ChordOne Performance では最終結果の公開タイミングを段階で制御できるので、面談を終えた対象者から順に公開する、という運用ができます。

本人が結果に納得しない場合、どうしますか?

面談の場で結果を変えることはしません。本人の主張する事実と基準の読み方を記録に残し、人事に確認します。基準の読み方に差があれば、人事と上司で確認して改めて本人に伝えます。事実の見落としがあり、結果が変わるべきと判断した場合は、キャリブレーションのやり直しとして扱い、経緯を記録します。「面談で強く言えば変わる」という前例を作らないことが、制度全体の信頼を守ります。

上司が兼務ばかりで、全員に45分は取れません。

優先順位をつけます。自己評価と上司評価の差が大きい人、最終結果が前期から2段階以上動いた人、低い評価の人には45分をかけ、差が小さく結果も安定している人は20分で「結果・根拠の要点・次期の合意」だけ行います。

まとめ:事実を揃え、先に聞き、事実→影響→期待で伝え、合意を記録する

評価面談は結果の通知ではなく、根拠の説明と次の合意の場です。準備は最終結果・行動事実・自己評価との差・次期の目標候補の4つ。進行は目的の共有→本人の振り返り→結果と根拠→差のある項目の対話→次期の合意→記録の確認で45分。言い方は人格ではなく行動を、事実→影響→期待の順で。低い評価は最初にはっきり伝え、評価が変わる条件と支援を約束します。記録は評価結果と同じ場所に、次の面談で読み返せる形で残します。

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